多様なメンバーがいたほうがいい

教育委員会の人事に反対したわけ

杉並区教育委員の定数は5人で、任期は4年です。この11月30日で任期満了となる委員2名の再任に同意を求める人事案件が26日の区議会第4定例会中日(なかび)にかけられ、私は反対しました。4年前の就任のときにも区議団として、5人のメンバー構成のバランスが不自然なこと、また情報提供が十分でないことなどを理由に反対した案件です。

人事に現場の声や区民の意思が反映される面がない、というしくみの問題もありますし、4年たってもこの2点の状況は変わっていません。今回はさらに、宮坂氏と大蔵氏のこの間の発言に対する疑問がありました。とくに2001年の教科書採択のおりに、社会科の教科書として、両人とも『新しい歴史教科書をつくる会』編集による扶桑社版をつよく推したことが教育委員会の議事録に記載されており、どうしても気になるところです。

扶桑社版の歴史的分野の教科書について、二人は「非常に魅力を持っている」「8社の中で最良」と述べ、公民の分野についても「他の教科書にあるような間違いは少ない」「最良」と推奨しています。扶桑社の教科書では、日本の植民地政策を肯定し史実でない物語の記述が多用されるなど、多くのメディア同様私たちも、子どもが学ぶ教科書として適当と思えません。

同社は結局選ばれませんでした。けれどその後も二人は、公的な発言に子どもを人格ある主体と認める視点が見られなかったり、性別役割分担は必要、とする持論を広報誌に執筆したりするなど、「子どもの権利条約」や教育基本法をもっとも尊重するべき立場の教育委員として、残念ながら賛成に足るような情報がなく、また考慮する時間も十分ではありませんでした。

しかし議会では、圧倒的多数の賛成により、この人事は可決されました。来年の教科書採択がどうなるのでしょう。しっかり見ていかなければ。

(写真は、「生活クラブ クリスマス・正月食品試食会」西荻地域区民センターにて)