卒業の季節 主人公はだれ?

会場なごませたA君のサプライズ

卒業式の季節です。学校の主人公は子どもだったはずなのに、日本の卒業式は「厳格に執行すべき式典」としてそのことが忘れられているかのようです。米国ではどうだったろうと思い出してみました。

ニューヨークで生活した6年間で、息子ふたりの小学校卒業式を経験しました。私たちが住んでいたハリソンの学校区では小学校は5年生まで。校区内の3校を教育長が全部回れるように、それぞれ時間差をつけての開始です。

卒業といっても、当地では12年生を終えることがほんとうの「卒業」なので、小学校や中学校の卒業はそれほど大きな事件ではありません。とは言え「入学式」のないこの国のこと、卒業式は区切りをつける意味があります。

もう15年前のことで細かい部分は忘れましたが、体育館フロアの正面に卒業生の座るひな壇、周囲にコの字型に家族の席が設置され、名前を呼ばれた子が出席者全員の見守るなか、音楽に合わせて長い距離を歩き教育長から証書と記念品を受け取る、という形式だったと思います。

壇上は3・4年生の吹奏楽クラブの子たちの演奏スペース。記念品は卒業生全員のフルネームがプリントされたTシャツ。式のあとはお菓子と飲み物のパーティーです。一抱えもある特別注文の「星条旗をかたどったケーキ」は油絵の具を塗り広げたような原色のクリームにぎょっ。最後まで売れ残っていましたが、私の持って行った「いなりずし」は米国人にも好評でした。

さて日本の場合。先日参列したI中学の卒業式は昨年より厳粛度が増したようでした。唯一楽しいサプライズは、壇上で証書を受け取ったA君がやおら「3年間、お世話になりましたっ!」と言って校長に握手を求めたこと。会場の人たちの笑いを誘い、場をなごませました。