モーツァルトを弾いた2人のピアニスト

ザルツブルク音楽祭で

8月15日はオーストリアでは「聖母マリア被昇天祭」という祭日です。カトリック教会では特別ミサが行われ、レストラン以外の商店はほとんど閉められてしまいますが、音楽祭なのでコンサートは開かれます。

R.ムーティ指揮、ウィーンフィルのマチネーコンサートは例年大曲を演目に選びます。
昨年はベートーベンの「運命」でした。今年はモーツァルト生誕250年という特別な年らしく、モーツァルト2曲とイタリアの現代作曲家の作品というプログラムでした。

「2台のピアノとオーケストラのためのコンツェルト」はモーツァルトが23歳の誕生日に姉と2人で弾くために作ったとされる曲ですが、特筆したいのはこの日演奏した2人の男性ピアニストが30歳のパレスチナ人と50代のイスラエル人だったことです。

超絶技巧を楽しむように弾いたふたりがカーテンコールで手を取り合う姿は、聴衆の感動を呼び拍手が鳴り止みませんでした。
もちろんその背景には激化する中東情勢の現実認識があり、それでも和平への希望を見たい、期待したいという国籍もさまざまな聴衆の気持ちのあらわれだったと思います。