サーマルリサイクルの本質は「焼却」

予算特別委員会での意見開陳より③

昨年10月より実証実験が始まった廃プラスチック焼却は、2008年度の23区全域展開に向け、07年度に規模を4倍に拡大してモデル事業を実施、とあります。これを特集した2月21日付け『広報すぎなみ』の掲載内容には疑問を感じています。

紙面では、「20年度から プラスチックは不燃ごみではなくなります」という見出しがもっとも目立つように配置され、容器包装プラを区が資源化することの記載が目立たない扱いになっています。これでは、区民には最終的に「プラスチックは来年から燃やすことになる」という情報が印象に残るだろうと想像されます。

プラスチックはまず分別、そして資源として循環させるための回収、最後に残ったものだけが焼却の対象、という順序を混同すれば、人の行動が安易な方向に流れるのは必至です。そもそも、廃プラスチックの焼却はサーマルリサイクルと呼ばれていますが、その本質は焼却です。

人体に有害なガスを発生させるという理由で従来長いこと避けられてきたプラスチックの焼却を、ついに政策として取り入れる、ということの重大さを区民に率直に投げかけるべきではないのでしょうか。

私は、少なくとも現段階で23区いっせいに廃プラスチックの焼却に踏み出すことには賛成できません。なぜなら廃プラ焼却とそれによる発電は、CO2排出による環境汚染、限りある資源の浪費、財政上の負担、環境教育など、多くの面から見て重大な問題があると考えるからです。

23区すべてで容器包装プラの分別・リサイクルのしくみが出来上がって初めて、それ以外のプラスチックを焼却に回すこともやむなしだろうと思います。

また、ごみの処理は私たちの生活に極めて密接したものであって、その方法は本来、私たち自身が議論して決めるべきものだとも思います。