クロアチアの山を焼いた今年の熱波

ザルツブルク音楽祭にて その②

クロアチアはボスニア・ヘルツェゴヴィナを「く」の字型に囲んで西側をアドリア海に面した国で、イタリアの形をブーツにたとえると、すねのあたりの対岸にあたります。「く」の字の最南端、ドブロヴニクにウィーン経由で入りました。

「アドリア海の真珠」と呼ばれるドブロヴニクは、海の色の深緑、石壁の淡いベージュと屋根瓦のオレンジ色の3色の取り合わせが絵画のように美しく、94年にユネスコの世界遺産に20年ぶりで登録されています。

最初は70年代に登録されたものの旧ユーゴスラヴィアからの独立戦争が91年におき、翌92年に独立を果たした後の戦火の傷跡がひどく、一時は「危機にさらされている世界遺産リスト」にあげられていたそうです。

観光地なので町の中央はすっかり復興したとはいえ、中心街を少し離れると当時の爆撃の跡がそこかしこに見られます。

この町を一望できるというスルジ山に登りました。かつて頂上まで運んでくれたロープウェイは戦争で破壊されてしまったので徒歩です。標高412m、1時間半の山道は結構きついので、いまは観光客から見放されたスポット。

山の中腹辺りから、立ち木が燃えて真っ黒になったあとがつづき、焦げたにおいが残っているのは、先月起きた山火事のせいです。3か月雨が降らず乾燥したところへ襲った熱波が山を焼いてしまいました。ここでも地球温暖化!

いえ、こうなるともう地球「熱帯化」というほうが正しいと思う。戦争は人災の最たるものですが、考えてみれば山火事も人災。防ぐ方法はあるはずだし、もう2度と起こさないようにしないといけない・・・。

町を離れる日、空港までのタクシーの中から「火事のあと」が山だけでなくさらに広い地域にわたっているのが見られました。人家のすぐ近くでも木々が焼け焦げた場所が無数にあります。ということは、熱波によって火事の起きたのはこの町だけではないのでしょう。
写真下 黒焦げになった山 後ろは砲撃のあと