杉並区の「協働」の意味がわからなくなった

第1回定例会の一般質問より ②

予算編成方針を「公共サービスを、誰が、どのように担うのか」という視点から読んだとき、気になったのが「協働」という言葉の使い方です。「協働」が「小さな区役所づくり」に向かう行財政改革に組み込まれることは疑問です。

自治基本条例で定義された「協働」は民営化、民間委託とは明らかに異なるものです。しかし「協働事業」となると、「すぎなみ『協働ガイドライン』」のなかで「さまざまな形態があります」。また一方、「NPO・ボランティア活動及び協働の推進に関する条例」には協働の定義も、協働事業の定義もありません。

「21世紀ビジョン」や「NPO・ボランティア活動推進条例」にあるように、協働の推進は新しい自治の基盤づくり、という認識に私は賛同するものですが、いつの間にか事業経費削減の手段という意味合いが色濃くなってきたように感じます。

区は、行財政改革の成果として、06年度の事務事業数合計857のうち439事業について「協働“等”が実現」、民間事業化目標6割に対し「“協働化”率51.2%達成」と評価し、「協働」と「協働等」が大くくりにされています。

ガイドラインで「NPO等との協働」と言われている協働の概念と、委託・民営化・指定管理・業務委託とは異なるものではないのか、という質問に対し、なんと、「指定管理や民託も協働になりうる」と答弁が返ってきたのには驚きました。

「協働事業提案制度」についても、前回質問したときからまったく進んでいない答弁に終始しました。同制度は、住民にとって必要だが行政にはない、できないサービスをNPOの側から提案するという画期的な制度なので、予定の3年が過ぎたから終了するのでなく、今後につながるような評価を期待したのですが。

「行政サービス民間事業化提案制度」が始まったことで、「協働」の受け皿の本流はここ、ということのようです。市民自治より行財政のスリム化ということ?それなら「協働化」6割どころか7割か8割、いや9割だって実現可能でしょう。

質問したことで、私には区の「協働」の意味がかえってわからなくなりました。