川のみちは風のみち みどり・昆虫・鳥のみち

都心の川からまちづくりを考える

たぶん参加者の心がけがよかったのか、天気予報が外れてまずまずの好天に恵まれた8月27日。30人乗りの船1隻借り切って、東京・生活者ネットが都心の川からまちづくり政策を考える企画は、神田川ネットワークの糸井守さんのガイドでめぐるツアーです。浅草吾妻橋からスタートしました。

吾妻橋から隅田川を上り、柳橋で合流する神田川に入って、総武線の浅草橋から秋葉原、御茶ノ水、水道橋までの線路と並行して西へ進んで、東京ドームまで行ったところで三崎橋から日本橋川に折れ、高架道路の下を豊海橋まで、全長4.8kmをへて再び隅田川を通る、という3河川をめぐるコース。

それぞれに特徴をもつ3河川ですが、一番印象に残ったのは隅田川です。桜橋が新設された85年、小学生の息子と行きずいぶんきれいになったと思ったものですが、そのときよりさらにきれい。母校、白鴎高校の「隅田川 かもめは群れて楽しき門や」と始まる校歌のイメージにやっと近くなりました。

私が台東区金杉町に住んでいた子どものころ、川といえばそれは隅田川のことでした。そして隅田川といえばドブ川、1キロ先まで臭う不快な川で、その昔は泳いだとかシラウオが獲れたと聞かされても信じませんでした。

きれいになった理由の第一は沿岸に林立して排水を垂れ流していた工場がなくなったことですが、親しめる川に、と努力してくれた人たちがいたからこそで、感謝しないと、と思います。川岸のブルーテント住まいの人たちにとっても暮らしやすい場所のようで、なかにはソーラーパネルを載せたテントもあるのだとか。

一方、真上を首都高速でふたをされた形の日本橋川は悲惨です。両側とも無味乾燥のカミソリ護岸のうえ頭上もふさがれ、船が豊海橋で隅田川に戻ったときには、風を受ける心地よさと開放感で気持ちまでが明るくなるようでした。

糸井さんの「川のみちは風のみち、みどりのみち」という言葉は本当にそうです。そして「昆虫のみち、鳥のみち」という言葉も。つまり自然の、生き物のみち、だから「川とともにどう暮らすか」という視点からまちづくりを考えないと、と思います。