地域主権で芝居小屋をつくったまち「香南市赤岡町」

総務財政員会の視察報告③

「絵金蔵」の館内はどきどきするような暗闇の世界
「絵金蔵」の館内はどきどきするような暗闇の世界

10月26日高知市で視察した「総合あんしんセンター」は、保健所、小児急患センター、医師会、歯科医師会、薬剤師会、準看護学校…などに防災センターが同居する、最新の免震構造をもつ建物です。今年3月にオープンしたばかり。

三師会など他団体とは「分譲マンションのような」区分所有にしていますが、連携がとれていい、というだけではないような気もします。総工費45億円のうち31億が合併特例債。「これ(合併特例債)がなければ建設できなかった」というから、この施設も「合併がもたらした成果」といえるのかもしれません。

3日目は高知市から電車で30分ほどのところにある小さなまち、香南市の赤岡町へ。ここでの調査項目は「地域主権による施策の実施」ということになっていますが、その施策とは芝居小屋「弁天座」と芝居絵のギャラリー「絵金蔵(えきんぐら)」の運営です。どちらも地域の人で構成される団体による指定管理です。

「弁天座」は座席数250ながら回り舞台、せり、花道、すっぽんもある歌舞伎小屋です。指定管理者は、歌舞伎の同好会のような活動団体が母体です。

以前、愛媛県内子町に行ったとき(こちら)に見た「内子座」という芝居小屋と似たような感じ。地元産の建材にこだわったり、細部に遊びがあったり、建設の段階から地域の人たちが楽しんで造り上げた形跡が随所に見られます。

弁天座のすぐ向かいにある「絵金蔵」もまた、幕末に赤岡町で創作に励んだ絵師に対する地域の人の思い入れたっぷりの、おもしろい空間です。絵師が実際に絵を描いていたのが酒蔵なので、酒蔵の雰囲気を生かして展示館としています。

住民団体が、まちづくり活動として施設建設の全プロセスに主体的にかかわり、さらに完成後の運営までを担うという例はあまりないと思います。これはたしかに「地域主権」のモデルケースといっていいかもしれません。

今回の視察は、高知県に行くなら「反核」を表明する名物町長のいる「東洋町」というところまで足を延ばしてみたい気がしていましたが、高知から3時間以上もかかるのでやむなく諦めました。