「里親子支援」を区の子育て支援策に位置づけられないか

「杉並の虐待死事件」2度とおこさせないために②

里子の虐待死がなぜおきてしまったのか考えるとき、どうしても納得できないのは、里親の状況に不審を抱いて発信した人が確かにいたのに、それが児相に受けとめられなかったということです。そして、たとえ児相が受けとめなくても、区に相談してみようとなぜ思わなかったのか。

その人にとっては、区の子ども家庭支援センターが眼中になかったのです。子どもを守るための区の機能が、まったく生かされなかった。また、仮に子ども家庭支援センターに連絡していたとしても、「『里親』は児相の管轄だから」として児相に回されただけだったかもしれない、という気がしています。

養育家庭制度が「東京都の制度だから」という理由で区には「タッチできない」としたら、地域が子どもを守ることはできません。このような虐待死を防げないことになってしまう。このしくみが変わらないと子どもを救えません。

子どもの社会的養護には大きく分けて施設養護と里親などの家庭的養護があり、子どもの最善の利益のためには家庭的養護のほうが断然上です。国の方針がこちらの比重を大きくしようとしているのは、正しいと思います。

そのためには里親制度の社会的認知を広げていかなければなりません。子どもに関わる立場にある人が区内の里親について把握しておく必要があるし、里親に対しても区のサービスを利用しやすいように周知すべきです。

里親同士のピアサポートグループや里親の支援活動をするNPOもあります。そういう当事者側と区側と、双方が懇談できるような場の設置も必要だと思います。また保育園、幼稚園、学校などの関係者が、里親制度について理解を深める取り組みが必要です。

このようなことが2度とおきないように、区のやるべきことを考えなければなりません。里親制度の普及啓発、委託の実績を増やしていくこと、里親を地域で支えていく、里子を地域で見守っていくこと。そのためには都と連携して区の子育て支援施策に位置付けていくべきだと思うのです。