「アンネの日記」を知ることは「ガザ」を考える妨げにならない

2014年8月7日 07時15分 | カテゴリー: 子どもと人権, 憲法・平和・社会, 映画・オペラ・おたのしみ, 杉並と東京都の教育と教科書問題

この夏、劇団民芸の舞台劇「アンネの日記」を見てきました。民芸がこの芝居を上演してきた歴史は長く、初演は1956年といいます。アメリカで初めて劇化上演されたのが55年、翌年にはもう日本で上演というのは、当時としては異例の素早さだったでしょう。 

これまでにアンネ役を演じた女優たちのなかには、かつての吉行和子、樫山文枝や日色ともゑもいました。今回のアンネ役は、以前この役を演じた俳優の娘さんだそう。母娘2代で同じ役をやるというのは、歌舞伎や新派なら珍しくないでしょうが新劇ではあまり聞きません。

 劇団の稽古場が上演会場。物語はアンネたちユダヤ人8人の隠れ家生活を描くものだから、隠れ家が舞台のすべてです。この設定と、稽古場の狭い空間という現実の制約が一致し、息をひそめるように暮らす物語をよりリアルに、身近に感じさせる効果をもたらしました。

多感で知的好奇心旺盛、闊達な少女アンネが活写されていたのは、俳優のチームワークと練り上げられた台本、そして的確な演出によるところが大きかったと思います。小学校の高学年以上なら理解できるように、演劇的レベルを下げることなく工夫されたところも好感をもちました。

 事実、80席くらいの客席の12割が夏休みの中高生ぐらいの子どもでした。そこで思ったのは、このお芝居は子どもが「観る」だけではもったいない、ということ。「演じる」テキストとして活用できたらいいなあ、と。「観るだけ」よりテキストへの理解がはるかに深まることは間違いなしです。 

2次大戦時のナチスのユダヤ人弾圧について知っておくことは、いまイスラエルのガザ地区でおきている戦闘を考える妨げにはなりません。 

「ロールプレイ」という手法が教育のいろいろな場面で使われています。刑務所で劇を上演する話はいくつかの映画に出てきます。観客としてより、演者となったときに発揮される演劇の教育的効果について、きちんと考察してみたいと考えています。