「見えないホームレス」にも総合的な支援を~決算特別委員会の質疑より⑪

 

ホームレス支援活動に携わっているNPO「もやい」の大西さん(左端)と稲葉さん(左奥)

いわゆるホームレスに対し東京都は、健康で安定した生活と自立を支援するため、2000年度から特別区と協定を締結して共同事業を実施しています。 

23区を5つのブロックに分け、当初は、おもに心身の健康回復のための「緊急一時保護センター」と、就労による自立と社会復帰を支援する「自立支援センター」という2段階の機関が設置されましたが、現在は、両者の機能を一体化した「新型自立支援センター」として運営しています。 

2013年度の実績について質問したところ、5か所の新型自立支援センターで支援を受けて退所した人は1814人。そのうち就労自立したのは599人、生活保護など福祉施策につながった人は474人といい、残りの741人は野宿に戻ったか、または消息が把握できないということになります。

 解決できたのが6割、という数は評価していいと思う反面、あと4割、がんばってほしいなあと感じます。

 東京都区部のホームレスの数はデータで見る限り減少し、2001年ごろは概数で5,600人でしたが、昨年は1,100人、今年の8月には914人。単純計算で6分の1以下です。しかし、路上や公園にいなくても、インターネットカフェなどで暮らす生活困窮者がいます。

 ネットカフェで夜間を過ごし、身ぎれいにしていればホームレスだとはわかりません。支援が必要な人は必ずしも路上にいるわけではないということです。 

情報がなく助けを求めることができない人を発見し支援につなげることが必要です。都に質問すると、2008年度から「TOKYOチャレンジネット」を開設し、生活、居住、就労に関する相談援助や資金貸し付けなどの総合的な支援を実施しているとのこと。

 そしてその案内リーフレットなどを、インターネットカフェや図書館など約800か所で常時配布しているほか、繁華街での巡回相談を、昨年度は279回実施しました。その結果、昨年度の来所相談件数はのべ8,489件だといいますから、大事な取組みです。

 「見えない」ホームレスとして、終電まで電車の中にいて、その後は朝まで町中を歩き回っている人もいると聞きます。その理由は、路上で「見える」形でいると「襲われる」からだというのです。実際におきている、ホームレスが襲われる問題については、次回に――。