「日本人として」「道徳」が強調される東京都の教育施策 ~11月25日文教委員会の質疑より②

2016年12月14日 15時24分 | カテゴリー: 子どもと人権, 杉並と東京都の教育と教科書問題, 自治と議会とまちづくり

東京・生活者ネットワーク「2017都議選政策発表集会」で 右は菊池靖枝前練馬区議 11/12

東京・生活者ネットワーク「2017都議選政策発表集会」で 右は菊池靖枝前練馬区議 11/12

東京都が策定準備中の教育施策大綱で、「日本人として」と「道徳教育」という2つの言葉が強調されることにたいへん違和感があります。

たとえば、重要事項の「世界で活躍できる人材の育成」として「伝統と文化を重んじ日本人としての自覚と誇りを涵養する取り組み」が書かれており、対象が日本人に限定されているような印象を受けます。「他者を思いやる日本人としての規範意識を醸成するため、道徳教育を推進」という記載もあります。

いま現在、外国籍の児童・生徒は身近にたくさん住んでいます。そのような状況でなぜ「日本人として」をあえて強調するのでしょうか。不自然です。この文言を入れることで、外国籍につながる子どもが「自分は除外されている」と感じることにならないか、たいへん危惧します。

2020年までに外国籍の子どもは都内の公立校で確実に増えていきます。その子たちの自尊感情を高め、誇りを尊重するための配慮が必要ではないのか。むしろ外国籍の子どもが自分の母国の伝統・文化について発信できるよう、促す取り組みが必要と考えます。

また、道徳教育が「子どもたちの豊かな心の育成を図るため」としても取り上げられていますが、豊かな心を育むというなら、道徳教育よりもむしろ芸術教育のほうが有効だと思います。

自立心を育む教育として、人権教育やキャリア教育、主権者教育、防災教育など、今日的なテーマに光を当てているのはけっこうなことですが、自立心を育むなら消費者教育を外せません。人はだれでも社会的存在であれば消費行動は避けて通れないのであり、消費者教育の重要性をここで明記するべきと考えます。

さらに、障がいのある子どもに関する取り組みについて、タイトルが気になりました。「障害のある子どもたち」という文言は、病気の治療を受けながら病院内学級に在籍する子どもにとってどうなのか。「障がいのない自分はここに該当しない」と思わずに済むように、タイトルを「障害のある子どもや特別な配慮の必要な子どもたち」とするなど、配慮が必要だと考えます。

何より、大綱の最初で「給付型奨学金」という具体的なしくみを示す前に、子どもが自己肯定感を持って生きる力が育まれるよう、自分自身が自由と権利を持つ存在であることが第一に明記されるべきではないのでしょうか。

いろいろ意見を述べましたが、大綱は1222日に開かれる第2回総合教育会議で確定することになります。これらの点に留意したものになればよいですが…。