川を見ればその都市の気品が分かる

善福寺川の復活をさぐるフォーラムで

10月14・15日、杉並区の恒例イベント「環境博覧会すぎなみ2006」は晴天に恵まれました。高井戸地域区民センターの建物内のすべてと外の敷地も全部、隣の清掃工場、リサイクルひろば高井戸もふくめて開催会場になります。

博覧会の一企画として常連になった「善福寺川フォーラム」に、14日参加しました。基調講演の講師は、04年に「神田川再生構想」をまとめた、東大名誉教授の高橋裕(ゆたか)さん。知る人ぞ知る、河川工学の第一人者です。

神田川は東京の中心を流れる代表的な河川で江戸時代の昔から人々の暮らしと深くかかわってきたのに、護岸により殺伐とした景観になってしまった。これを人や生き物が集い楽しめる川に戻そう、というのがこの「再生構想」です。

「パリやブダペストはなぜ美しいか。それは街を流れるセーヌ川、ドナウ川があるから。川が都市とともにあり、都市の魅力を構成する重要な要素になっている。河川行政は住民意思の反映。川を見ればその都市の気品が分かる。」

「河川と都市計画、下水は一体で考えるべき。下水道を観光施設として公開しているパリ、映画『第三の男』で有名なウィーンの下水道と比べて東京はどうか。日本の小説家は下水道のことを書かない。」などのお話が印象に残りました。

講演の後は、国交省で下水道事業にかかわってきた栗原秀人さんと、東京都の下水・河川の各担当者による「善福寺川の復活をさぐる」シンポジウム。

栗原さんは朝早く西荻窪駅から歩いて川の水源、善福寺公園まで行き、川沿いを下りながら「善福寺川があるのは地域の宝」と思ったと言います。川を復活させるのは人々の合意、参画、連携だという言葉に力がこもっていました。

「昨年9月に浸水被害が起きたのはむかし水田だったところ。水田が宅地として開発されてきた。治水より開発が優先されてきたのはわれわれが望んだことでもある。われわれは川に対し加害者でもあった。」と気づくこと。できることから何か始めるのが、善福寺川復活の第一歩のようです。