省エネ実績のアピールと市民ファンド

求められる低炭素への誘導策—議会質問より③

太陽光発電や太陽熱利用機器による発電量や削減できたCO2量、省エネ実績を発信することで効果が「見える」なら、区民の設置動機を引き出すことにつながるのではないか。区民に向け「見える」形でアピールすべきと考えます。

区ではエネルギー消費削減の取り組みにより、99年度比で年間1億円以上の経費削減を実現しています。生活者ネットの提案で、その削減実績が庁舎をはじめ区の各施設でもグラフにしてポスター掲示されるようになりました。

効果が「見える」ということをさらに進めて、節減できた経費を環境インフラ整備、たとえば太陽光発電パネル設置を拡大するなどに振り向けることはできないか、その基金として有効活用しては、と提案しましたが、答えはノーでした。

「省エネすることで経済的プラスになる」ことなしにCO2排出削減を実現することはもはや困難といわなければなりません。「炭素に価格をつける」、そして炭素消費を減らす方向へ誘導するという、国の思い切った政策がいま、必要なのです。

環境への貢献意識を投資に生かすしくみもあってしかるべきです。自然エネルギー促進のために投資をと考える区民の意思を生かす道が考えられないものか。

山梨県都留市で、市民参加型ミニ公募債を活用して小水力発電所が動き出した、というケースがそのヒントを与えてくれます。杉並で水力は難しいにしても、しくみとして、市民ファンドの設置や公募債の発行を検討するよう要望しました。

ところで、温暖化防止条例を独自に制定する自治体がふえてきたのは、注目すべきことです。人が生活し活動すると必ずCO2が排出されるのであれば、身近な自治体でこそ、地域全体の総合的な対策が求められます。

杉並が地域政策の重要性を認識しているなら、国の政策を待つのでなく、地域としてのエネルギー政策や、低炭素社会と資源循環型社会を一体的に作りあげていくことを区から発信することも、次のステップとして検討すべきときです。

温暖化防止の単独条例を制定することは、区が温暖化対策に真摯に取り組む意思を示すという、強いメッセージになります。環境先進都市・杉並区として温暖化防止条例の制定を検討するよう、最後に要望しました。