成人の発達障がい者支援はまだ整備途上

第1回定例会の一般質問より③

発達障がいは、他の人と意思の疎通がスムーズにいかない、知的には問題がないのに社会のルールが理解できない、など「生きにくさを抱えた人」の問題が一種の障がいによるものであると規定づけた概念です。
写真 杉並ネットのメンバーには介助員ボランティアとして、子どもたちの学校生活をサポートする活動をする人がいる
2005年に発達障害者支援法が施行され、それまで福祉制度の谷間にあって行政施策の対象とならなかった発達障がい者とその家族にとって、生涯を通じて公的な支援が受けられるよう定められた意義は大きく、また発達障がいという種類の障がいを社会に認知させるきっかけとなりました。

ただ外見上はほとんどわからない、障がいの程度も症状も個人差の大きい発達障がい者への支援のあり方には、多くの課題が山積しています。

杉並区の場合、子どもの発達障がいについては乳幼児期から学齢期までふくめてきめ細かい支援策が施されていると評価できますが、成人に対しては、安心して地域でくらせる体制が整備されているとはいえません。

障害者基本法、障害者自立支援法の対象とされていないため、発達障がいに必要な支援の規定がなく共通認識がされていないという法的不備もあります。区の保健福祉計画、障害福祉計画でも種別にすると「その他」の部類に入ることになり、障害者手帳や愛の手帳、保健福祉手帳の交付を受けることもありません。行政計画に明確に位置づけることが必要です。

障害者自立支援法は現在見直し作業中で、発達障がいが位置づけられる方向が示されています。この動向を注意深く見守っていきたいと思います。

さて質問のほうは、特に成人の発達障がい者に関して区の取り組みを問いました。とくに発達障がいは個人ごとにそれぞれ症状や個性が異なるうえ、医師によっても診断の異なる場合があり、ボーダーライン上にある人も相当数いると考えられます。そのため個別の対応が不可欠となります。

第1には相談窓口の充実であり、医療、保健、福祉、教育、労働などの所管が連携しての個別の支援体制が必要です。