図書館の指定管理化方針は問題あり 

09年第3定例会の一般質問より④

区立中央図書館
区立中央図書館
杉並区の図書館でいま大きな問題が進行しています。

杉並区では中央図書館と12の地域館が設置され、4年前より運営の外部化・民営化が進んでいますが、あと2年以内で全地域図書館に指定管理者制度を導入する方針がこのほど示されました。

突然の発表は、図書館に関わる人たちの間に衝撃として受け止められ、方針の凍結と再検討を求める運動が今まさに展開されています。計画では来春から3地域6館の運営が指定管理者に委ねられるとされ、その事業者募集がすでに始まりました。

けれど私は、図書館の指定管理化は問題が大きいと調べれば調べるほど考えるようになり、この時期をとらえて、区に再検討を求め質問しました。

利用者アンケートでは業務委託や指定管理になった図書館はサービスがよくなったので好評、と区はいいます。でもそれは表面的なことであって、レファレンス業務の質の低下や、地域に根差した生涯学習の拠点としての機能低下が免れないと危惧する声は重く深刻です。

指定管理者制度では施設の管理から館長業務、選書までふくめた事業が民間に委ねられることになります。しかし本の貸し出しにせよレファレンスにせよ、図書館のサービスは無料であるため事業者は営業利益を上げることが困難なので、人件費を圧縮せざるを得ません。

その結果として人材確保や育成がおろそかになり、いっぽう図書館事業を手放した行政は、これまで積み上げてきたような地域情報やその収集経験を今後蓄積していくことができなくなります。

国会では昨年「公立図書館への指定管理制度の導入はなじまない」と文部科学大臣が発言し、また「指定管理者制度の導入による弊害」について配慮すべきという認識が示されています。

これらの点について区の見解をたずねたところ、「導入にあたって慎重に、制度の適切な推進を図るように、との趣旨と受けとめている」との答え。方針見直しどころか着実に進めていく考えを示しました。