キャベツの外葉は捨てずに食べよう、という話

杉並区「食の安全を考える討論会」にて

杉並保健所主催の「食の安全を考える討論会」に10月24日、参加しました。今回のテーマは農薬。キャッチコピーは「捨てずに食べよう!キャベツの外葉 野菜と農薬の今を知る」です。

「野菜の農薬に気をつけよう」というのでなく「野菜の農薬は食べても問題ない」という趣旨の内容と思われ、ちょっと意外。かえって興味をひかれます。基調講演の講師は杉並区育ちの科学ライター、松永和紀(わき)さんです。

果たしてやはり、松永氏の講演も結論からいえば「今の農薬は急性毒性の低いものが8割を超え、農家自身も厳しい使用管理を実施しており、農産物の残留農薬は問題ない」というもの。

つづく消費者グループが区内の農業生産現場で実際に見てきた農薬使用実態のレポートでも、そのあとのパネルディスカッションでも、農薬イコール害毒とする思い込みはいまや理屈に合わないことがいろいろな立場の人の証言から裏付けられた形でした。

井草のトマト農家、森田さんが「農薬の話は消費者に誤解されるのでふだん話題にできない」と述べたのには考えさせられました。消費者のやることが情報入手を自ら妨げる結果を生んでいるのなら、問題です。情報開示があってはじめてリスクコミュニケーションが成り立つ話です。

だからディスカッションの締めくくりとして松永氏の語った「生産の場を支える消費者になろう」という言葉には大賛成です。私は農薬でも添加物でも、適切に使って正確に情報が開示され、それを見てわかって食べたいと思っているから。わかれば、キャベツの外葉ももちろん食べます。

レイチェル・カーソンの『沈黙の春』や有吉佐和子の『複合汚染』が社会に農薬の毒性を告発した意味は大きく、そのおかげでより安全な農薬の開発や適正管理が進んだのはきっと確かです。

そのことがあり、農薬について問題がなくなったのでもどんどん使おうというのでもないことを踏まえたうえで、賢く利用していこうとするのでなければ農業の生産現場は成り立たないし、継続していくことも困難、ということだと思います。