図書館に指定管理者制度を導入する3議案に反対した

8人目の名誉区民を定めて定例会は閉幕

地域図書館の全館を、指定管理者制度のもとに民間事業者に運営代行させよう、とする区の方針については、かねてより問題が多いと考え、9月議会の一般質問のテーマでも、決算議会でも質問に取り組んできました。

杉並在住の文化人たちからは、「図書館を民間に委託しないで」と訴える市民グループの呼びかけに応えて賛同が集まってきていました。阿刀田高、池田香代子、泉麻人、小塩節、谷川俊太郎、西内ミナミ、野坂昭如…などの作家たち。また佐倉清一、松居直などの出版、書店会の重鎮も。

しかし杉並区は決めたスケジュール通り6館の指定管理事業者を公募し、選定委員会で選んだ事業者を指定する議案を3本、第4定例会で提出してきました。12月8日の本会議で、生活者ネットは「図書館に指定管理者制度を導入することには期待がもてない」と意見を述べて反対としました

またこの日は、経済学者の速水融(あきら)氏を名誉区民とすることへの同意を求める議案が出され、賛成多数で可決されています。

杉並区で8人目となる名誉区民です。区の条例に基づいて選ばれていますが、いまひとつよくわかりません。速水氏は社会経済史学者で歴史人口学を日本に導入した人といい、この秋の文化勲章受章者5人のうちのひとりです。

それほどの権威ある人に杉並区などがあとから称号を出すのって、どうなんでしょうか。もらうほうは、断ったら悪いのでいただくことにする。区長にしてみたら、それほど偉い人にあげないわけにはいかない。

これまでノーベル賞受賞者、人間国宝に受けていただいて、児童文学者の石井桃子、作曲家の遠藤実両氏は亡くなったのを機に名誉区民になっていただき、今度は文化勲章なのだから、前例の7人の名誉と重さをどう測ったのか比較したのか、下した判断がこの提案なのでしょうが。

今後も超有名な文化人や芸術家が亡くなったり、同様の賞を受けた人がいれば名誉区民に推されるのかなあと思いますが、では映画のアカデミー賞は?その人が外国人だったら?もし非道徳的な行動が発覚したら?

生活者ネットも今回「反対するほどの理由がないので」賛成しましたが、そもそもが違和感の残る制度だということは否めません。