消費者の立場で設計されていない「食品表示制度」

区議会の一般質問より⑦

一般質問の3つ目の項目は食品表示について。

食品は安全が当たり前でなければなりませんが、どんな食品を、何を基準に選ぶかは個人の自由です。自分の意思で食べものを選べるよう、消費者にはその権利が確保さなければなりません。消費者の食品を選ぶ権利、その前提となる正しい情報を知る権利を保障するのが食品の表示です。

昨年9月に消費者庁が発足し、食品表示に関することは、国においては厚生労働省から消費者庁に移管されました。生産者・事業者本意で定められてきた表示制度が、今後、消費者本位に見直されることが期待されます。

食品表示に対する区民の関心は高まっています。消費者に身近なところでの、適正に表示されているかどうかのチェックが必要です。適正な表示、消費者が知りたい情報が伝わる表示が求められています。

杉並区では、食品衛生監視指導計画において食品表示の適正化に向けた取り組みを定めており、先日パブコメに付された計画案では、基本方針の中で区内の食品製造施設への監視指導をいっそう強化、とあります。

ただ区が指導しても、いまの法律の範囲では消費者の知る権利は保障されているとはいえません。偽装表示が絶えないことも法の不備に一因があるうえ、表示を定める法律が複数にまたがっているため、消費者にとって大変わかりにくい仕組みになっています。

日本の食品表示は、衛生面で定める食品衛生法と品質面にかかわるJAS法という、おもに2つの法律によって規定されています。食の工業化やグローバル化の進行に伴って食品を取り巻く環境が大きく変わるなかで、時に応じて改正してきたものの、消費者にとってはまだ不十分です。

たとえば、制度の不備を示す例としてよくあげられるのが魚の例です。切り身として売られる魚には産地表示が義務づけられているのに、刺身の盛り合わせとなると加工食品の扱いとなり表示が不要となる、という具合に、いまの制度は消費者の立場で設計されているとはいえません。