家庭科の教科書は地球市民を育てる「ESD」にぴったりの教材

2010年第3回定例会 議会質問より④

ESDはあらゆる分野の教育課題を包括していますが、なかでも関わりの深いのが環境教育でしょう。杉並区では「エコスクール」の3本柱、すなわちハード面での整備、環境教育、環境配慮行動の中で位置づけられています。

今般、区長が打ち出したエアコンの全教室設置を、子どもが自ら管理・運用にかかわり、環境教育のツールとして、エコスクールと矛盾するのでなく関連付けることにこそ意味があり、そうすることでESDの実践としたいものです。

学校でのESDは、これまで協働で授業を実践してきたNPOなどとともにすすめることが望ましいのは当然です。環境、まちづくり、人権、福祉、消費者問題、国際交流などで活動するNPOや団体を区がつなぎ、ESDとして位置づけなおすことで、より豊かな学習が展開できるはずです。

そのために、NPOなどがこれまで実践し蓄積してきた活動の情報は、地域の資源として有効に活用されるべきです。各学校がこれら情報にアクセスできるようなツールの整備を、と質問すると「すでにできている」という答弁。それにしては活用されていないのは、普及がいまひとつということでしょうか。

21世紀に生きる地球市民を育てる価値観としてESDを広めていくべきです。区でも、校長はじめ管理職や教師を対象として講習や研修を行うことが必要では、という質問に対しては「国立研究所から近く教員向け報告書が出るので・・・研究する」という返答が。う〜ん、消極的な答弁。

実はESDを学習するのにぴったりの教材のあることがわかりました。それは、いま杉並区の中学校で使われている家庭科の教科書なのです。

「遺伝子組み換え」やフードマイレージの説明があって消費者教育の視点もばっちり。また子どもの権利条約の全文を掲載、男女共同参画についても書かれ、貴重です。何しろ扶桑社の歴史教科書にはこれらの掲載がありませんから。

内閣府の「新しい公共円卓会議」宣言でも、「企業にも求められる『持続可能な社会づくり』」や社会貢献活動、社会的活動を担う人材育成や教育の充実がいわれています。まるでESDの理念そのもの。これからつくっていく基本構想にも、この認識を外しては考えられません。