精神疾患「施設から地域へ」の難しい現実

区議会質問「こころの健康について」より④

2004年9月、厚生労働省の精神保健福祉対策本部が示した「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針が、日本の精神保健福祉を大きく転換させました。それ以降「施設から地域へ」の基盤整備が進んでいます。

区の障害福祉計画はその方針にそって精神科病院からの退院促進事業の数値目標を定めています。しかしこの実績を問うと「H21年度3人、22年度1人。目標は両年度とも10人」と。地域移行がいかに難しいかということです。

課題の解決を入院に頼らない、再入院を防ぐ、といっても緊急対応のしくみがなければ、それは不可能です。24時間かけられる電話や、緊急受診できる施設の確保など、地域のネットワークを使った救急体制が必要です。

精神障がい当事者が当事者に対して行う相談支援活動、すなわちピアサポートが、杉並区地域生活支援センター「オブリガード」で、有償ボランティアとして行われています。カウンセラーの人材としても本人のリカバリーのうえでも効果的であり、意識的に人材を養成して活動をさらに推進すべきと考えます。

就労も大きな課題です。昨年度、杉並区が実施した障がい者の地域生活に関する調査によれば、精神障がい者の就労状況は、作業所、授産施設での仕事が過半数を占め、勤めるにしてもパート・アルバイトが23%であり、常勤は11%に過ぎません。

また就労生活を継続させるために必要なこととして「仕事の定着支援や職場調整などの就労支援機関による支援」と「いつでも相談できる人や場所」が多く挙げられています。

このような状況に対して質問したところ「昨年度の障がい者就労人数62人のうち24人は精神障がい者。伸びてきている」ということではありました。