こころの病気を受け入れる土壌を地域に

区議会質問「こころの健康について」より⑥


保健所の機能強化についてもただしました。精神保健福祉をすすめるには、医療の質の充実もですが、地域へ出ていく保健師の人的充実が欠かせないと、今回つくづく思ったからです。

何より、こころの病気についての誤解をなくして正しく知り、病気にかかった人を排除せず広く受け入れる風土をつくること、そのためには理解を深める啓発事業を積極的にすすめるべきです。

ところで私は1年前の区議会の一般質問で「成年後見制度」について質問した際、精神障がい者には必ず「保護者」をつけて一生監視され続けなければならない、という「保護者制度」の根底にある差別と偏見について指摘しました(こちら)。

内閣府障がい者制度改革推進会議で、この「保護者制度」については抜本的に見直す方針が出されたので、廃止は時間の問題でしょう。また当事者や家族の人たちも「昔より状況はよくなった」「いまは薬がよくなったから」といいます。

いまはずっといい、世の中も変わってきた、医療も進歩した、という言葉はしかし、昔がひどすぎたのだということではないのでしょうか。「社会的入院」という聞こえのいい言葉こそ使われても、その本質は封建時代と変わらない状況がついこの前まで続いていたのが、こころの病気を取り巻く現実です。

「地域へ」と言いながらその「地域」に病気を受け入れる土壌がないなら、本人にとっても家族にとっても残酷すぎます。

しかし、いま国に「(仮)こころの健康を守り推進する基本法」の法制化を求める運動が全国で立ち上がり、杉並区議会にも請願が出されました。今回「こころの健康」「こころの病気」という文言を多用したのはこれを意識したからです。

重要疾病への位置づけが進む動きと併せて、その運動が、国民病とまで呼ばれるようになった「こころの病気」を克服する大きな前進となることを願っています。