若者の精神医療をアウトリーチで支える三重県の取り組み

生活者ネットの「精神保健・労働」チーム視察より①

中高生のための授業関連グッズがおしゃれです

来年の都議選にむけて東京・生活者ネットワークでは先ごろ政策を発表し、その内容をさらに深めるため3コースの視察旅行が、夏休みを利用して企画されています。私は8月2・3日「精神保健・労働」のチームに参加しました。

精神保健・医療は、昨年11月議会で一般質問に採りあげた(こちら)こともあって、関心のあるテーマです。最初の視察先は、ベッド数400という精神科の単科病院、「三重県立こころの医療センター」内で取り組まれている若者対象の事業「ユースメンタルサポートセンター(YMSC)MIE」。

精神疾患は、10代から20代の若い時期に発症しながら初期の段階で見逃されてしまうことの多い、それゆえに重症化、深刻化する病気です。この問題を解決するには、早いうちに病気を見つけ医療につなぐ以外にありません。

こうして2008年に設立されたYMSC-MIEは、若い患者対象のワンストップサービスをめざし相談、家族支援、自殺予防のカリキュラム作成、学校現場へのアウトリーチ(多職種チームによる訪問支援)、就学支援、地域の医療機関との連携、…など考えられるあらゆる取り組みがなされています。

医師である院長、精神保健福祉士、看護師、臨床心理士など多職種のスタッフが交代で説明してくださったことに、この事業の特徴が表れています。

とくに印象深かったのは、中高生向けの精神保健授業です。私の議会質問では「中学生が学校で精神疾患について学ぶ機会を」という提案に対し、「学習指導要領にないから」という理由で「不要」と言わんばかりの答弁でした(こちら)が、この地でも教育委員会側の認識は同様で、実践が拡がらない難しさがあるようでした。

院内を案内してくれたスタッフから、ここは以前「高茶屋病院」といい「東の松沢か西の高茶屋か」といわれた精神科病院の「西の雄」と聞きました。その誇りと、日本の精神医療を牽引していこうという責任感、気概がどのスタッフからも感じ取れたことが深く心に残りました。