「世界一美しい」ノイシュヴァンシュタイン城にて ヨーロッパの旅②

2013年8月15日 20時11分 | カテゴリー: 映画・オペラ・おたのしみ

 ザルツブルクで2泊した後、ドイツのフュッセンに行くことにしました。フュッセンは当時のバイエルン国の狂気の王といわれたルードヴィヒ2世が建てたお城があることで知られる小さな町です。

 ザルツブルクから電車で2時間、ミュンヘンでディーゼル車に乗り換えてさらに2時間行った終点がフュッセン。ミュンヘンまでの間に国境を越えますが、パスポートの提示を求められることはなく、どこが国境だったのかわかりません。平和なら、地続きの国境はこういうものなんですね。

 フュッセンはお城の観光収入だけで成り立っているようなところ。そのお城、ノイシュヴァンシュタイン城は世界で一番美しい城といわれ、ディズニーランドのお城のモデルだそうです。見るからにヨーロッパの中世のお城ですが、それは形だけ。甲冑に身を包んだ騎士がいて敵国から守る防衛施設としての機能はありません。

 だいいち建てられたのが19世紀のことなので、時代はとっくに中世を過ぎ近代に入っていました。ところが、中世の騎士道に強くあこがれた王が夢を形にしようと、国が傾くほどの財を注ぎ込んで建てたのがこのお城です。

 日本にたとえてみれば明治時代に権力者が戦国武将にあこがれて姫路城を建てるような話で、国王が夢見るだけなら罪はないのですがそれを具現化させるのに莫大な国費を投入したりするのはまちがいなく異常です。

 ルードヴィヒは側近たちに軟禁され、やがて湖で謎の死をとげます。

 前回ワーグナーのことを書きましたが、ワーグナーオペラに私が夢中になれないのは、この作曲家を当時の国王ルードヴィヒが、そしてのちにヒットラーが絶賛し崇拝したことがひっかかっているからです。

 王はワーグナーの強力なパトロンとして彼の作曲活動に惜しまず援助を与え、数十年後ヒットラーはこの音楽を愛好して、狂気の独裁政治に国民を巻き込む道具として利用しました。イスラエルではユダヤ人指揮者のバレンボイムが振るまで長くワーグナーだけは演奏されなかったのもそのせいです。

 2人の狂気の権力者から愛されたことをワーグナー自身はどう思うのか、聞いてみたいです。