子ども施策としてのいじめ対策 権利条約を踏まえた取組みを~都議会一般質問より①

今年は「子どもの権利条約」批准20周年にあたりますが、いじめ、虐待、犯罪被害など、子どもを取り巻く痛ましい事件があとを断たず、条約の理念は生かされていません。

 1989年の国連総会で採択された「子どもの権利条約」は、世界中の子どもの人権が尊重され、子どもが主体的にいきいきと暮らせるよう、子どもの権利を保障する国際規約です。条約の趣旨や理念を踏まえ、子ども一人ひとりが大切にされる社会の実現にむけた取り組みについて、知事の所見を問いました。                   

 知事は、「子どもの健やかな育ちを支えることは、行政はもとより社会全体の責任である。生まれ育つ環境を自ら選択することはできないからこそ、与えられた環境によって将来が決定されることなく、すべての子どもが望む進路を主体的に選択できる環境を整えていくことが必要」と答弁。また「東京の将来を担う子どもたちが個性や創造力を伸ばし、次代の後継者として健やかに成長するよう、行政、地域、民間の力を合わせ、社会全体で子育てを支援する取り組みを進める」 

この議会で示された「いじめ防止対策推進条例」については、文教委員会で質疑を行いましたが、一般質問の中でも子ども施策の一環として「いじめ」問題について問いました。 

道徳教育や生活指導などでの対応では、いじめの本質的な解決は困難であり、子ども自身の自己救済力を育成することが大切です。そのためには、子どもを必ず受け止め、救済するセーフティネットのしくみが担保されていなければなりません。子どもがアクセスしやすく、子どもの視点に立ち、相談・調査・調停の機能と権限を持った公的な機関が必要です。学校外で第3者的機関などに相談できるようにすべきと考え、教育長の見解を質問しました。              

しかし答弁は、「24時間対応のいじめ相談ホットライン」や「子ども家庭総合相談センターにおける教育相談センターで、電話相談や来初相談」、「東京都児童相談センターや警視庁少年相談室などでもいじめ問題の相談窓口」などを設置しているのでこれ以上は不要、という考えでした。 

質問づくりの過程で、子どもに関わる教育庁や福祉保健局などの担当者と「子どもの権利」という理念について意見交換を何度か重ねましたが、「言葉が伝わらない」難しさを最後まで払拭できず、それが答弁にも表れていたと思います。