委員会にかけられた補正予算案の中に「あるもの」の購入費が計上されていないことが、私は気になっていました。「あるもの」——選挙のときに投票所に設置される「記載台」のことです。
国会の混迷する状況を見ていると「解散総選挙が近いかも?」という疑念がぬぐえず、4月の統一地方選挙に衆院選が重なる「トリプル選挙」にまたもや突入するのでは、という不安が増大します。
となるといやでも思い出すのが去年7月のトリプル選挙。あのような大量無効票問題を2度とおこさないための対策を今から練っておかなければなりません。無効票問題は「投票用紙の2枚同時渡し」が主たる原因だったので、今度は「1枚ずつ4回渡し」としなければなりません。区はそのつもりがあるのか?
同じ疑問は他の議員の一般質問でも言われましたが、もし4月に衆院選がぶつかるなら「4回投票とする」という選管委員長の答弁だったので、それなら記載台を増設するのだろうと私は考えました。なぜなら、区が所有する記載台の数では「66の投票所全部で4回投票とするには足りない」という去年の議会答弁だったからです。
4回投票がよいことは去年の選挙の前にわかっていた、しかし一部の投票所は狭く、記載台を置くスペースが足りないところがある。4回投票ができない投票所が18か所ある。だから「公平性」のために全投票所で「2回」とした——。
また記載台の数についていえば「全投票所で4回投票とするには台数が足りない」ということも、去年の総務財政委員会の中で明らかにされていました。
ならば、今度「4回投票とする」方針であるなら、足りない分の記載台の購入費を予算化するのだろうと思ったわけです。ところが、次年度予算にも、今年度最後の補正予算にもそれらしいものが見あたりません。そこで委員会で質問すると、「1選挙につき8人で記載」という方針を変更するから記載台を増やさなくても4回投票ができる、新規購入の予定はない、というではありませんか。
何のことはない、「1選挙あたり8人」にこだわらなければ4回投票ができるということだったのです。記載台を新たに購入することなく、「1選挙あたり4人」という設計にすれば「4回投票」は可能。ということは、去年7月の時点でもそれが可能だったことになります。
つまりそれは、4回投票を「やろうとしたけれど無理だった」「空間的・物理的に不可能だった」ということではなくて、「何を優先すべきかを見誤った」ということなのではないか。——と、いま私は思っています。