20人分の傍聴席をめぐって集まった希望者は43人。選抜方法はくじ引きです。去年の中学校教科書採択では1,000近い傍聴希望者で庁内が異様な熱気に包まれたところですが、今回そのようなことはありません。
運良く私は当たりくじを引き、傍聴席へ。
今年の採択替えは、教育基本法改定に伴い学習指導要領が変わったことで教科書の改訂が行われたことによります。「度を過ぎたゆとり教育」の弊害がいわれたため、新版ではそれを是正しようとしてか全教科で20〜30%もボリュームが増大しています。
それでなくても国語、書写、社会、地図、算数…など種目数11、出版者ごとによる種類51、使用学年は1年から6年まで、全部で上巻191冊、下巻89冊、という膨大な量の見本本があるので、教育委員が比較調査するには事前準備がさぞ大変だろうと思います。
でもだからこそ、学校の先生たち専門家で構成される種目別調査部会の調査活動があるわけで、部会の報告を読み込んでそれをもとに選べばよいと思うのですが、議論を聞いていると、教育委員一人ひとりの印象なりちょっとした感想で採択が決まっていきます。
委員は見本本を完全読破できればそれに越したことはないかもしれませんが、それよりも現場からの意見(=部会報告)がもっと尊重されてもよいのでは、と思いました。
その意味で、井出教育長が「教える立場」から「教える専門家」としての議論を展開していたことは、聞いていて参考になりました。また家庭科の教科書の内容についてただひとり「消費者教育」に言及したことで、議論が深くなったと感じました。
でも宮坂委員が「あまり戦争批判が強いのはいかがか」と発言したり、特定の出版社のものをひとりだけ強くすすめていたことは不自然だし違和感をおぼえました。