区民のマイバッグ持参が定着してきているのは、レジ袋削減の取り組みの成果といえるでしょう。レジ袋有料化の実践にあたっては、事業者の理解と協力があって、実現できたといえます。この協力関係を生かして、プラスチックごみ総量を削減する取り組みへと発展できないか、と考えます。
たとえば、地域限定でプラ容器の店頭回収やガラス容器のリユースなど、モデル実施を検討すべきではないでしょうか。環境活動団体から事業者に向けたアイデアや提案を出してもらう、など、多くの区民がかかわってプラスチックごみを減らす議論ができるのでは、と考えます。
なお、食品に直接触れるプラスチックの安全性については、今は問題なしとされますが、ガラスなどに比べれば歴史が浅いため、新たな科学的知見が今後出てくる可能性は否定できません。将来にわたっても安全であるとは言い切れませんから、食品の容器として、非プラスチックを広げることが必要だと思います。
ところで、前区長が在任中の2008年より地球温暖化懐疑論に同調する姿勢を明確に示すようになり、CO2排出量削減は不要であるかのような発言が出るなか、区の環境施策の打ち出し方に変化が見られるようになりました。省エネを推進する目的として「脱石油社会」という文言を使うようになったことがその典型です。
小泉元首相の時代に「脱石油戦略」というものが策定されましたが、国家戦略としてのエネルギー対策を構築するうえでの指標として「脱石油」は適した言葉だと思います。ですが、区民が環境問題を広く共有し啓発する言葉としてふさわしいのか、疑問です。
いま地球上の生き物が直面している環境問題を本質的にとらえるなら、二酸化炭素の排出がより少ない生活のあり方を提案すべきです。山田宏氏が区長を退いたいま、今後、区はCO2削減目標をしっかりととらえ「低炭素社会」をめざすことを積極的にアピールすべきです。