講演のテーマは、田中氏自身「民主に1票投じた」という選挙後の交代劇について。いまの鳩山政権をどう見るか。
「あらゆる面で準備不足」「終着点目的という錯覚があった」という否定的な評価で始まった田中氏の鳩山政権論のベースには、2大政党制に対する不信または反感、というか批判があるようです。
それもそのはず。93年に「さきがけ」を立ち上げ細川連立政権を支えたひとりとしてめざしたのは「少数意見が反映される、穏健な多党制」といい、「大政党は必ず烏合の衆になる」という物言いに氏の考えは明らかです。
経済政策の不備や普天間問題での社民党との事前協議不足、鳩山・小沢両氏の「あれほど多額の金」にまつわる問題への国民の素朴な疑問に答えよ、「政治主導」のやりかたがあれでは「偽装」に過ぎない、など政権ウォッチャーとして指摘し注文すべきことの多い田中氏ですが、この政権に「参議院選までは命をつないでほしい」という…。
それほどまでに自民の復権は望まないということでもあるでしょう。自民党は「頭のないクジラ」、というのは「図体ばかり大きくて…」というたとえだそうですが、「政治は薫りがなきゃダメ」という一言には参りました。
民主主義はもっと明るくていい。明るくのどか、薫り高いものであってほしい。いざというとき強靭になる。民主主義の名において、民主主義が破壊されないよう知恵をつける。
こんな言葉を聞くと、ああ政治をこんなふうにロマンティックにとらえてもいいんだ、という優しい気持ちにさせてくれます。経済対策として景観政策を、という提案にも目からうろこ。これは使えるかもしれません。