師走の西荻 ミニライブの夜は更けゆく

ブルース=「BLUE+S」、起源は黒人奴隷の労働歌

至近距離で聴くブルースギターは格別
至近距離で聴くブルースギターは格別

杉並・生活者ネット月例の「ネットサロン」、12月は忘年会を兼ねて「ブルースの夕べ」です。ブルースギタリスト兼歌手で、評論・著作活動に大学での講義もされている小出斉さんのお話とミニライブを聴くことに。

斉さんは、生活者ネットの会計事務を手伝ってくださっているT子さんのお連れ合いで、音楽一筋に打ち込む彼の魅力について彼女から日日聞かされている我われにとって待望の企画でした。西荻のHさん邸が会場です。

ブルースというと「別れのブルース」とか「恍惚のブルース」とか、昔の歌謡曲の題名によく使われたので、気だるく詠嘆的な雰囲気のある歌曲のことを言うのかとなんとなく思っていましたが、全然違っていました。

レクチャーはアメリカ大陸をオランダ人が「発見した」15世紀に遡ります。その後ヨーロッパ人が入植し、労働力としてアフリカから連れて来られた黒人たちの労働の歌や霊歌がそもそもブルースの起源なのだそう。

ちょうど日本の「ヨイトマケ」の歌のようなものかもしれません。またブルースとはBLUEにSがついたものなので、BLUEすなわち「憂うつ」「気が滅入る」などの暗いイメージの意味ととらえていいようです。

でもそれにしては小出さんがこの晩演奏したのは明るい感じの曲ばかりでしたが。ジャズのひとつの原型と思える素朴なコード進行は、のちにビートルズやローリングストーンズに影響を与えたというのがうなずけます。

ところでこの日はT子さんつながりで珍しい人が集まりました。なかでも1月から小出宅にホームステイすることになった米国人留学生レベッカや、小出ブルースのファンという女性はT子さんも初対面だそう。

斉さんが持参したギターは「友人が中野で拾ったのをくれた」もの、とてらうでもなく言うのにももう驚きませんでした。この夫にしてこの妻あり。

こうして師走の西荻ではブルースの夜が楽しく更けていったのでした。