経済不況の影響を受け、雇用状況の悪化が止まりません。米国発の経済危機が原因のひとつですが、格差や貧困、多重債務などの問題がそれ以前から起きていたことは、福祉や消費者行政の現場ではすでに知られていました。
杉並区でもここ10年近く扶助費が増加し続け、2000年に162億円だったものが07年度には243億円という、1.5倍になっています。なかでも深刻なのは、児童福祉費と生活保護費がこの間に2倍近くに膨れ上がっていることです。
貧困問題について、国は最優先の政治課題として取り組む必要があります。にもかかわらず、政府の公式見解では日本に「貧困」は存在しないことになっているという、驚くべき認識が問題をさらに深刻化させてしまっています。
憲法25条で保障されたはずの国民の生存権をおびやかす問題として、国の責任において対策を講じなければなりませんが、現場を抱える身近な自治体が既存の取組を活用し機能強化を図ることで救済される人が必ずいるはずです。
最後のセーフティネットである生活保護制度は、ひとたび受給が始まると、その状況から抜け出すケースが少ないことが実績から明らかです。それだけに、そこに至る前段階での経済的生活支援が重要です。
生活保護のように「返さなくてよいお金」ではなく、一時的に融資を受けて危機をしのぎ、その後少しずつでも返していきたい、という意志をもった人に対してどう支援するのか、ということが今回の質問の趣旨です。
そこで、行政による生活福祉のセーフティネットとしての融資制度、生活福祉資金貸付制度と、昨年東京都が始めた、就労や資格取得支援の取り組みについて質問しました。