ほんとうの国際貢献は子どもたちを飢えさせないこと

自衛隊派遣は的外れ

日本のNGO職員としてアフガニスタンに赴きボランティア活動に従事していた31歳の青年が、現地で殺害されてしまった事件。衝撃を受けています。世の中に理不尽な死はいくらでもあるとはいえ・・・。

「ペシャワール会」は「井戸を掘る医者」中村哲さんの活動をベースに結成されたと聞いています。9.11同時多発テロの後、米国で異様に盛り上がる愛国論とゆがんだ正義感に日本も乗せられていたころ、一時帰国していた中村氏の講演を聴く機会があり、すっかり感動した私はペシャワール会の会員になりました。

しばらくは会報が送られてきていましたが、そのうちに会費を納め忘れたらしく、情報が来なくなっていました。でも、政治的な中立を堅持し「国」のためでなく「土地の人」のため、水の確保と農業支援活動に黙々と従事する、その実践に対する敬意はいつも忘れずにありました。

拉致が伝えられた最初のTVニュースで、青年のお母さんが「息子がみなさんにご迷惑をかけて申し訳ありません・・・」と目を伏せて言うのを見たとき、4年前のイラク人質事件での「自己責任」バッシングを思い出して正直、ぞっとしました。

この母親は息子の安否が心配でいてもたってもいられないだろうに、それを率直に口に出せずに、周囲に対してまず謝罪せずにいられない。そうさせたのはもちろん、あのとき「自己責任」論の嵐が膨張するに任せていた、この社会です。

だから青年の死が伝えられた後、父親が「息子を誇りに思う」と言ったので心底救われた思いがしました。お通夜には外務副大臣が参列したというから、イラク事件のときと何という変わりようでしょう。日本が成熟したということなのか。

それにしては、町村官房長官の「この死を無駄にしないためにも、自衛隊の給油活動を継続させるようがんばる」というコメントは的外れとしかいいようがありません。青年の死を無駄にしないためにすべきこと。それは中村医師の「私たちにできるのは、子どもたちの腹をいっぱいにしてやる、それしかない」という言葉の中にあるのではないでしょうか。

ほんとうの国際貢献とは何か。今度の国会でぜひ、議論してほしいテーマです。