森田明美さん「子どもが育つのに専門家なんていらない」

子ども・子育て計画にどう反映させるか?

22日は東京・生活者ネットが東洋大学教授の森田明美さんを招いての学習会。児童福祉が専門の森田さんの講演タイトルは「子どもの権利を基礎自治体で実現する手法」。具体的には、次世代育成支援後期計画に「子どもの権利」をどのように盛り込むか、というテーマです。

この、いわゆる「少子化対策」の計画は、国の命名にならって「次世代育成推進」とか「次世代育成支援対策」というような堅苦しい名称がついている自治体が多いのですが、杉並区の場合は「子ども・子育て行動計画」。平易だし、親しみやすくて大変よろしいと思います。

何より、「子ども」が「子育て」の前についていることで、子どもは「自ら育つ主体」だという意味合いが伝わってくるし、「少子化対策臭さ」がないのがいい。だいたい、「少子化はイカン」として「産めよ増やせよ」的な発想から対策を立て数値目標を達成させようというような画策はごめんです。

そもそもこの計画のベースになっている「子ども・子育て将来構想」を、子どもの権利を重要視する生活者ネットとしてまあまあ、評価しています。すべての子どもを対象とし、虐待など権利侵害への配慮、子どもと大人の参画により地域をつくる、という視点など、目のつけどころがいいと思います。

ところがどうしたことか、「計画」ではその視点は奥に引っ込んでしまい、子ども支援でなく子育て支援ばかりが強調されている——というのが杉並区の場合。ただしこの計画は09年度までで、いま見直しが検討されているのです。

そこで、「見直しにあたって何を盛り込むか」という話になるわけです。森田先生は「子育ても家族のありようも多様になった今日、施策の柔軟さが必要」と指摘し、「思いつき子育て支援」が親へのばら撒き弊害をもたらした、と苦言。そして専門家でなければという依存と、市民性への信頼の低下を招いた、とも。

「子どもは専門家なんていないところで、見張られずに育ちたいんですよ」という言葉は痛快!でも同時に、「じゃあそれを区の計画にどうやって反映させられるんだろう??」という難問を私に突きつけてきたのでした・・・。

写真 打ち水に来てくれた阿佐ヶ谷南保育園の子どもたち (8/1 区役所前で)