村野さんはかぜ薬を買いに来たお客に「薬なんかのまないでおかゆ食べて寝てなさい」と説教するような薬屋さんでしたが、数年前に店をたたみ、いまは災害医療薬剤師として活躍しておられます。
昨年ジャワ島地震のとき、「日本から医療ボランティアが駆けつけて救援活動にあたっている」と報じたニュース映像に村野さんの姿がありましたが、04年のスマトラ沖地震や新潟中越地震でも、現地にとんだそうです。
そういう人だから「HEALTHの語源のギリシャ語は」「WHOの規定する健康の定義は」「桃太郎と金太郎ではどちらがえらいか」・・・など話が飛躍するのでいつ本題に入るのかと思っていると、たどり着いたのは「噛むこと」の大事さ。
左右両側の歯をバランスよく使って、唾液と十分混ぜ合わせて、しっかりたくさん噛むことが重要——というのは、高齢者の介護予防メニューとして最近重要視されている「口腔ケア」について語られるときにも指摘されることです。
骸骨の模型で歯をじっくり観察したあと、フランスパン、ご飯のおにぎり、セロリ、スルメを、一口ずつ時間をかけて噛んで食べる実習をしました。
舌がどう動くのか、どの歯を使うのか意識して、50回から70回も噛むということをやってみると、食べることが「お腹を満たす」とか「味わう」だけでなく、身体のいろんな筋肉や器官を使う、「動物が生きるための活動」なんだ、と実感します。
動物にとって「よいウンチを作る」ことは「食べる」ことの延長上にある、という当たり前のことに気づかされ、なんだかすごいことを発見したような気がしています。