ホームレスの大半が多重債務者と言われ、自殺や家庭崩壊の要因ともなっています。日本は年間3万人を超える人が自ら命を絶つ事態が9年も続いていますが、このうち8,000人近くは経済問題が起因していると報告されています。
背景に、返済能力額以上の現金を無担保で貸し付けて高い金利を科す消費者金融の存在があります。安易な借り入れをあおる消費者金融のテレビCMの洪水に対し、弁護士会が放映中止を要請したのは当然といえます。
最近ではサラ金のCMには制限がかけられているようではありますが、これまで増加の一途をたどってきた消費者金融利用者は1,400万人、5件以上利用している多重債務者は約230万人といわれています。
これに対する抜本的総合対策として、昨年12月貸金業法が改正されました。貸出金利の上限は、1954年の109.5%から、その後4回の改正を経て現在の29.2%、そして今回20%にまで引き下げられ、年収の3分の1を超える借り入れを原則禁止するという、国家統制ともいえる総量規制が始まります。
過剰貸付けを抑制して新たな多重債務者の発生を防ぎ、問題を根本から解決しようとするものです。しかし一方、改正法の施行を前にすでに貸金業者の淘汰が始まっており、資金が円滑に供給されにくくなる可能性があります。
いわゆる「ヤミ金」に頼って借金の泥沼にはまり、問題をより深刻化させるケースが増える恐れは否定できません。多重債務問題を借り手本人の責任だけとせず、サラ金等の過剰融資による消費者被害として、また、経済の構造問題と捉え、自治体としても当事者の立場に立った対応策が求められます。