昨2006年9月に誕生した安倍政権のもと、教育基本法の改定、防衛「庁」から「省」への格上げなど、新保守的価値観の押しつけが否応なく進められてきたことに、平和を望む多くの国民は危険な空気を感じ取っています。閣僚による問題発言や金銭疑惑が支持率低下をもたらしているものの、憲法改定をにらんだ動きには油断ができない状況です。
海外に目を転じれば、混迷を深めるイラク情勢はいまや内戦状態にあってベトナム戦争の二の舞と化し、合衆国大統領ブッシュの政策を支持した日本政府の判断は間違っていたといわなければなりません。かたや北朝鮮の核問題はじめ東アジアにおける核拡散の脅威は、対話による外交の重要性を、唯一の被爆国である日本から発信しなければならないことを物語っています。
いっぽう環境問題、なかでも地球規模で進行する温暖化問題は深刻さを増し、東京では雪をついに見ないまま、記録的な暖冬が終わろうとしています。地球温暖化問題に取り組むアル・ゴア氏の活動を追った話題の映画『不都合な真実』が重大な警告を発していますが、温暖化の進行を食い止めるための有効な対策はいまだに打たれていません。
少子化問題もしかりです。ただ、子どもを産まない女性の増加と就業しない若者の増加には、いずれも社会への異議申し立てという、共通するものがあると私には思えます。女性が出産しない現象は、女性を「子どもを生む機械」にたとえた柳沢厚生労働大臣の、「だから一人頭にがんばってもらわないと」と語った言葉に象徴される、日本の保守的社会への抗議でしょうし、フリーターやニートの増加は、いくら働いても豊かになれないワーキングプアを救うことができないでいる社会への抵抗と考えられるのではないでしょうか。
好景気といわれても実感することができず、政務調査費問題に端を発して火がついた、議員や政治家に対する不信から、人びとが政治をあきらめかけるのを、私たちは放置するわけにはいきません。自治を拡げ民主主義を貫くことこそが暮らしの質を高め、安心していきいきと生活できる地域社会を築くのだということを実証したいものです。