不祥事は不二家だけの問題か

ブランドの誇りは食の安全を保障しない

不二家の不祥事は、消費期限切れの食材使用が明るみに出て以降、次々と過去の不正が暴き出されています。元従業員の語る内部事情には、そんなにひどいことがまかり通っていたのかと、怒り、驚き、あきれるばかりです。

もっと早く公表されていればこんなことにならずに済んだかもしれないのに、と思うと同時に、これは不二家だけの問題だろうかという疑問がわいてしまいます。ありえないようなことだけどおそらくありうる、ほかでもやっているのでは、と。

それほど、食への信頼を失墜させた不二家の責任は重いといわなければなりません。独自の社内規定や管理マニュアルがあったのに組織ぐるみで無視されていたようです。ルールは守られなければ意味がありません。

事態は問題発覚当初の予想を超えて深刻化の様相を見せています。全国に散らばる数百のチェーン店が販売中止に追い込まれ、再開のめどが立たない状況で、社長が資産を処分したとしても従業員への保障ができるのか。

「企業のモラル」や「ブランドの誇り」が食の安全を保障しないことは、「雪印」のときに私たち消費者は経験済みですが、不二家はなにも学習しなかったことになります。食の安全を軽視することがどんなに大きなリスクを負うことになるか。

問題の原因を徹底解明して改善プランを公表すること、ルールを再点検し、それが守られているかチェックするシステムをつくること、さらにそこには消費者の目が不可欠です。そしてこれは不二家だけでなく、食を扱う企業全部に問われていることです。