03年に国の食品安全行政が大きく変わり、「リスク分析」の考え方に基づいた手法が各自治体で取り入れられてきましたが、消費者・事業者・行政が情報を共有し意見を交換し合う「リスクコミュニケーション」についてはなかなか実施が難しく、都内では杉並以外ほとんど行われていないようです。
今回は取り組み先進区・杉並での開催として、区も共催の形をとって行われました。03年以降、それまでの「食の衛生」に加えて行政は「安全」にも力を入れることになったわけですが、法に基づいて国がやるべきことがほとんどで、地域(区)にできることといえば「表示」に関することぐらいだろうと思います。
「表示」は消費者が食品をえらぶときの主たる判断材料なのだから、正確で十分な情報がわかりやすい形で示されなければなりません。そしてそれをチェックできるのが、現場に最も近い、地域(区)だというわけです。
まったく、表示される情報が正直で正確でさえあれば、BSE問題も耐震強度偽装もライブドア事件も、起こらなかったはずです。本質はみな同じです。
BSE問題について言えば、米国産牛肉が輸入再開されたと思ったらすぐまた禁止になり、病気の牛(へたり牛)を食用に回していたことが明るみに出るなど、管理のずさんさは言語道断。それなのに日本政府の対応策はいまひとつで、歯がゆいことと言ったらありません。
でも、以前BSE感染牛が見つかった北海道で飼料に肉骨粉が含まれていたことが最近わかり、感染の原因究明につながるのではと考えられます。トレーサビリティーと正確な情報開示。このふたつが重要な鍵です。