「人の心はお金で買える」などと、世の中の善人を全て敵に回すつもりかと言いたくなるような発言で挑発した人の、この成り行きに溜飲を下げた人は多いはずです。期待を裏切られがっかりした人ももちろん多くいたのでしょうが。
「錬金術」にだまされて大量に生まれた投資家たちがまず考えられる直接の被害者ですが、去年の「小泉劇場」衆議院選に役を振って登場させた自民党も、国会で追及されて「こっちだって被害者」と思っているかもしれません。
でも彼が、公認でなくても「刺客」同様に重点選挙区に送り込まれ、公認同様に幹部の応援を得て自民党「改革」のシンボルを演じたことは、あの選挙で「自民イコール改革」のイメージづくりにどんなに大きく貢献したことか。
ほかのどの公認「刺客」候補より、彼が訴えた「郵政民営化」「改革」が自民党の票を伸ばす効果を発揮したように思います。もし彼がああいう形で候補者になっていなかったら、あれだけの圧勝にはならなかったのではないのか。
そう、あの得票もバブルだったのだと、改めて思います。ただあのバブルがお金のバブルと違うのは、これで社会のルール(=法)が作られてしまうこと。
そういえば彼は「ルールを作れば神になれる」とも言っていました。どういう文脈で言ったのか覚えていないのですが、印象に残っている言葉です。
暖房もないという拘置所の、パソコンも携帯もない個室で、彼はなにを思っているのでしょうか。人の心をお金で買えると言う人に同情する気はないけど、事件の全容を解明してそこから私たちは学ばなければならないので、彼にはこれからきちんと真っ当に、生きていく方策を考えてほしいと思います。