都立中高一貫校の教科書問題を考える①

石川文洋さんの集会で4校同窓生が一同に

「都立白鴎高校附属中学の教科書問題を憂慮する『白鴎有志の会』」、略して「白鴎有志の会」は、今また不安な夏を迎えています。都教育委員会が「つくる会」の歴史教科書を今年も採択するのではないか、と危惧するからです。

しかも今回対象となる中高一貫校は白鴎だけではありません。来年中高一貫6年制に改組される両国、小石川、都立大附属の3校をふくめて、その付属中学4校で使う教科書が8月に都教委によって採択されようとしています。

昨年前例があるだけに、4校すべてに扶桑社が選定されるおそれが拭えず、「白鴎有志の会」は他の3校卒業生にも「後輩たちに偏った教科書を押し付けないで」の声を一緒に上げましょう、と呼びかけてきました。

7月16日、4校の卒業生が一堂に会する機会に、と報道写真家の石川文洋さんを招いて集会を開催しました。ベトナム始め世界の戦地を取材してきた石川さんは、両国高校定時制の卒業生として、「母校に『つくる会』教科書はいらない」と訴える呼びかけ人に名を連ねています。

スライド映写で見る石川さんの写真から、戦争を賛美することの愚と罪深さが伝わってきます。中高年層が多かった参加者の中に、今年白鴎高校を卒業したばかりの若い同窓生がいて、「戦争で起きたことの事実を歴史の授業でちゃんと教えてほしい」と発言してくれたことはこの日の収穫のひとつでした。

会場としたのは浅草にある台東区民会館。白鴎高校の近くでもあります。はじめのあいさつに立った影山さんの言葉が味わい深いものでした。

「あとで同級生に話してほしい。久しぶりに浅草に行ってね、なつかしかった。そこでこんな集会があってね。白鴎やほかの都立高校にこんなことが起こっている、と。たとえもう間に合わなくても、そうやってこの運動を広げてほしい。」

参加した150人の人たちが今ごろそれぞれの職場で、地域で友人に、知人に話していてくれたらいいなあ、と思います。