州ごと、学校区ごとに制度がちがう 米国の教育事情

ニューヨークの学校では①

前回、米国の卒業式について触れたので、関連して当地の学校のことを思いつくままに書きます。NYでの6年間、3人の息子たちは現地の幼稚園、小学校、中学校、高校に通いました。学校はすべてハリソン学校区内です。

米国では12年間の教育の内容は州ごと、学校区ごとに違うので、小・中・高の配分さえハリソンでは5年・4年・3年ですが隣の学校区では6・3・3。またべつのところでは、子どもが増えているから5年までだった小学校を4年間にして、そのかわり高校を4年にしよう、と町の教育委員会にはかられ決まった、だから今度の卒業式は例年の2倍の子どもを送り出すのでパーティーの準備も大変なのよ、とその地域のPTA役員の女性は言っていました。

教育委員会はボランティア(報酬なし)の委員と専門職の教育長で構成され、会議は夜、公開で開かれます。9月の新学期前に全家庭に配布される「スクールカレンダー」には、学校に関する年間スケジュールがすべて、休暇もテストも行事も、教育委員会の予定も掲載されていて、12年生までの子どもがいなくても、町の学校税を払っている住民に等しく情報が届けられます。

小学校のクラスの児童数は最大25人。26人になると2クラスに分かれる、つまり13人のクラスができるわけです。教師専用の休憩室はありましたが職員室はなく、担任している教室のデスクがその人のスペースで、仕事に関係のない家族の写真や好みの置物も飾ったりします。

教師の給料は一般と比べて安いらしく、夜はタクシー運転手や家庭教師などの副業を持っている人、アルバイトをする人がよくいました。ということは放課後の時間が自由に使えるからで、日本の忙しい先生たちが見たらうらやましいと思うのでは。ただし70日以上もある夏休みは給料が出ないそうです。

教師に関してもうひとつ驚いたのは、ほとんどが地域の人だということ。親が教師として勤める学校に子どもが生徒として通うケースはザラです。こんなところも、学校と地域の深くかかわるゆえんでしょう。

杉並では4月から小学校2校・中学校2校が地域運営学校として新たなスタートを切ります。地域と学校の関係がどう進化していくのか、期待しましょう。