扶桑社版「つくる会」の教科書が採択されそうだという事態に、「卒業生の思い」というかたちで異議を唱えようと賛同を募ってきました。24日に都教委に提出した賛同人名簿には、90代から20代までの男女628人の名前が載りました。
中高一貫校として生まれ変わるとはいえ、自分の卒業した白鴎高校で行なわれる教育に無関心ではいられない。子どもたちにどういうことを教えようとしているのか、知ってしまった以上、ここで黙っていてはあとできっと後悔する。そう考えてこの活動を始めたのですが、卒業生が発言することは、学校現場の当事者である子どもや保護者、教師たちが自由に声を上げにくい今の状況にあって、その意思を代弁しうる、当事者に近い存在としての意思表明、という面があったと自負しています。それなのに。
無念です。でも人と出会えたことが収穫。
一緒に呼びかけを始めた高校教師は、2週間ほぼ毎日メルマガを発信し続け、母校に20年勤めたかつての「名物教師」は教え子のネットワークにはたらきかけて数100人の賛同を集めました。30代の助教授は自分のホームページに「賛同表明フォーム」をつくり、20代の大学院生は期間限定でこの問題に関するサイトを立ち上げました。
卒業生628人の願いは退けられてしまいましたが、教科書採択は来年2005年に、再びもっと大きな問題として起きてきます。次の4年間にわたって使用される教科書が来年8月に決まるからです。いまからちょうど1年後です。
2006年3月末まで設置が継続される「日本の伝統文化に関する教育推進会議」の動向も気になります。目を離さず見守っていかなくては、と思います。