母校が気になる この夏

新設の中高一貫校に「つくる会」教科書?

東京都が進めている中高一貫6年制の都立校づくり、その最初の1校が来春台東区に設置される、と知ったのはずいぶん前のことです。しばらくしてそれが私の母校、白鴎高校で開設する、と聞いたのに、そのときの私の反応は「へぇー」というぐらいでさしたる感慨もなかったのは、今思えばうかつでした。

感慨はなくても、もっと関心を持つべきだったと思います。気がついたときには、石原都知事の意向のもと、都教育委員会により「日本の伝統文化に関する教育推進会議」という組織が「校長に提言する機関として」設置されていました。校長に提言? 誰が、何を? ・・・委員の中には三浦朱門氏や米長邦雄氏の名前が見られ、それで初めて不安がふくらんできました。

このふたりの共通点は、教育問題に関して積極的に発言し、文部科学省や都教委のアドバイザー的な立場で、子育てへの国家の介入や戦前教育の賛美をとなえるなど、子どもの権利保障や「子どもの最善の利益」を目指す方向からはるかに遠い価値観の持ち主だということです。そしていずれも「新しい歴史教科書をつくる会」と深いかかわりがある、という点も。

新設校で来春から使われる教科書がこの8月中に決定されるのですが、「つくる会」が作成した中学1年生用の歴史教科書を採用するように、という強い働きかけがあるようなのです。この扶桑社の教科書は、日本の植民地政策や侵略の歴史を美化・肯定するものであるとして多くの問題点が指摘されています。

できれば何とかそれを食い止めたい。そう考える人たちの署名が5,000余筆、都教育委員会に届けられたと新聞記事にありました。私も、特に卒業生として今できることがないか同窓の友人と相談し、旧職員をふくめ白鴎高にゆかりのある人たちに声をかけて、有志の会を立ち上げたいと考えています。

写真は母校、白鴎高のまえで