「女性の人権」「子どもの権利」の視点からみた子宮頸がんワクチン問題
日本ではこれまで、薬害問題が繰り返されてきました。サリドマイド、スモン、薬害エイズ、肝炎…。つい最近も肺がんの治療薬「イレッサ」をめぐる薬害訴訟の最高裁判決で、副反応被害者である原告側が全面敗訴するという報道があったばかりです。
子宮頸がんワクチンも薬害問題と認識するべきです。そういう側面と併せて、女性の人権・ジェンダーの問題、また子どもの健康に育つ権利が脅かされている問題、という面からとらえることも必要です。なぜなら、子宮頸がんは女性だけがかかる病気ですが、その原因は性感染によるウイルスとされ、男性にも責任があるのに、女性の、しかも子どもだけに予防対策が強いられている――。
女の子にだけ、将来がんにならないためとして痛い注射が押し付けられ、なかには悲惨なほどの副反応に苦しめられる一方で、男子には何も知らされず何の痛みもない。
予防接種の対象は11歳から16歳ですが、この注射が何に対してどのような効果があるのか、その意味について十分な説明がされているとは思えません。性に関することをふくめて体のこと、健康についてなど自分で考え選ぶ権利が子どもにだってあるはず。
それがまったく無視され配慮もなく大人の論理で施されているのが、この予防接種事業だと思うのです。
4月から予防接種法に基づく定期接種となったため、区は実施主体となって対象者に勧奨する義務を負い、また保護者も、子どもが接種を受けるために必要な措置を講じる努力義務が生じています。しかし当事者には受けるか受けないかを「選ぶ」権利があります。つまり受けなくてもいい。
子どもたちの、性について・健康について知る権利、選ぶ権利をきちんと保障し学びを確保すること。そういう視点からも、予防接種の問題をとらえるべきでしょう。