里親委託 「子どもの最善」めざし拡大を ~決算特別委員会の質疑より⑩
東京都の社会的養護の取組は、2011年に発覚した杉並区での里子死亡事件が契機となって大きく進展したと聞いています。2010年に、里子として育てられていた3歳の女の子が養育家庭で亡くなった事故について、1年後に里母による暴行の容疑が明るみに出て、社会に衝撃を与えました。
当時、杉並区内で里親として活動していた友人は、同じ地域の里親仲間の一人として、その里母の状況を目にするなかで、里子の養育が負担になっているのではないか、と疑問を抱いていたと言います。そのことは里親グループの間でも話題になっていた、という話は他の人からも聞きました。
もし里母が子育てに行き詰っていたのであれば、たとえ里親制度は都の事業でも、子どもは区立の保育園に通い、地域で暮らす以上、杉並区の子育て機関と情報共有し支援できなかったのかと思います。けれども当時はそのしくみがありませんでした。
痛ましい事件の後、児童相談所と区の連携が、当然のものとして図られるようになり、児童相談所の人的配置が質・量ともに充実し、家庭的養護制度の改善は飛躍的に進みました。事件が教訓となって、制度の刷新ともいえる充実が図られたことは、せめてもの救いだと思います。
まずは里親制度についての社会一般への普及啓発をひろげ、里親登録者数の拡大が必要です。ただし、分母が大きくなれば、中には里親に向かない人も当然いると思います。しかし研修やフォローアップの支援を充実させることで、「子どもにとっての最善」を実現することは可能だと思います。
地域の子育て支援のしくみも十分活用しながら、実績を積み上げほしい、と都に要望しました。