「病院内学級」 入院中の子どもの学習の機会~11/20文教委員会の質疑より②
東京都は、病院で闘病生活をしている子どものための学級を設置しています。「肢体不自由特別支援学校の分教室」という位置づけです。
先日、国立がん研究センター中央病院の中に開設されている、都立墨東特別支援学校の「いるか分教室」の学習発表会のようすを見せていただきました。
ここでは入院中の小学1年から高校3年までが対象とされ、小児科病棟と同じフロアに設置された教室に、10数人の子どもが病室から通ってきています。全員が小児がんという病気を抱え闘病しながら、体調に応じて7人の教員の指導で学習しています。
入院中の児童・生徒の教育は、このような分教室のほかに、教員がベッドサイドを訪問して行う病院内訪問教育があり、この2つの形態で実施されています。訪問教育は、肢体不自由特別支援学校がその通学区域にある病院に教員を派遣する形で実施していますが、闘病中であっても、教科学習の遅れを取り戻し、進学したいと希望する子もいます。
しかし各教科の教員が各学校に分散しているため、一人ひとりの教科指導のニーズに応えるうえで課題があります。今後、求められる解決策について質問しました。
都教委の答弁によれば、今後、肢体不自由特別支援学校である光明特別支援学校、北特別支援学校、墨東特別支援学校の3校に病弱教育部門を併置することで、病院内訪問教育を実施する学校を拠点化する、といいます。拠点化することで、多様な教科に対応できる教員を集中的に配置することができ、児童・生徒の教科指導のニーズに応えていく、とのこと。
「いるか分教室」は、ミニサイズの学校のように、先生たちがなんとか工夫し、保護者たちも協力し合い運営しています。学習発表会では、子ども一人ひとりが同じ病気の仲間たちといっしょに勉強することを通して、自ら病気と向き合い、病気になったことで自分や家族を見つめ直し、そこから病気を克服していこうとする前向きな力を得て成長しているようすがわかりました。
病院内学級は、場所の提供だけをとっても、病院側の理解と協力がなければできない取組みです。都はこれをしっかりと支え子どもの学習の機会を守ってほしい。質問の最後にそう要望しました。