水循環の健全性はかる湧水の保全を~2/27都議会の一般質問より⑤

今年2015年は、1999年に策定された「水循環マスタープラン」の目標年となっており、この中には、水循環の推進に関する条例の制定が盛り込まれています。おりしも、国が昨年、水循環基本法を制定・施行しましたが、この法律では、河川水だけでなく地下水も含めて、「水が国民共有の財産であり公共性の高いものである」としています。

 さて水循環マスタープランの最終年として、これまで実施してきた施策について評価・検証し、次につなげていくことが重要です。マスタープランには、東京に降った雨と、河川や下水道への流入、利用、蒸発、地下浸透など、トータルな水収支をはじめ、地下水についても記載されています。

 都民にとって身近な水辺である湧水は、比較的浅い地層の地下水が湧き出すもので、水循環の健全性をはかるバロメータのひとつといえます。そこで、東京の湧水の現状と保全に向けた都の取り組みについて質問しました。

 環境局長より、「都市化の進展による人工被覆率の増大に伴い雨水の地下浸透が減少するなどして枯渇が認められる湧水がある一方、降雨量が増えると、一度涸れた湧水の復活や水量の増加も確認している」と答弁があり、湧水は減ったり増えたりすることがわかりました。

 また、湧水は「直接触れることができる身近な水辺であることから、地域の自治体が中心となって保全を図ることが重要」との考えを示し、「都は、地域の実情に合わせた区市町村の取組みを促すため、先駆的な湧水保全策の情報を共有し、活用するための研修会を開催するなど、技術的な支援を行う」と答弁しました。

 そのほか、「広く湧水の魅力を紹介するマップ(写真)を作成して普及啓発に努め、今後とも身近な地域の財産である湧水の保全に向けて、区市町村と連携して取組む」と述べました。

 生活者ネットワークとしては、地下水は水循環で大きな役割を果たしており、この理念を活かした条例が必要だと考えています。(つづく)