文教委員会の教育庁質疑より4 ~「18歳選挙権」生徒会活動を政治教育に生かすこと
公職選挙法が改正され、来年想定される参院選から18歳以上で投票ができるようになりました。若者の政治参加をすすめる大きな1歩として、また子どもの権利条約に保証された意見表明権の延長線上に位置づく権利の行使という意味からも、歓迎しています。
この機会に、高校生が自ら主体的に政治に向き合っていこうとする意識を引き出し、育んでいきたい。都立高校での教育活動は、これまでの公民科の授業に加え、現在、選挙権年齢の引き下げを契機として、都や区市の選挙管理委員会事務局と連携して、模擬選挙などの体験学習を一部の学校で実施しています。そして今後、主権者教育の優れた実践事例を全都立高校に周知していくといいます。
主権者教育の実践事例といえば、生徒会活動は自治と民主主義を実践的に学ぶよい機会であり、主権者教育のひとつだと考えます。質問したところ、都教委の見解は「主権者教育の目的は、平和で民主的な国家・社会の形成者としての資質や能力の育成である。生徒会活動は、選挙の具体的な方法や民主政治の本質を学ぶことができ、主権者教育の一環として活用している」とのことでした。
全校生徒で構成される生徒会は、行事の運営など学校内での活動が中心ですが、校外に活動を拡げる生徒たちもいます。被災地を訪ね、文化祭で現地の報告や支援募金を実施したり、ボランティアで地域の清掃活動や高齢者施設を訪問したり、といった取り組みもあります。
こうした活動は、社会貢献というだけでなく、生徒が企画運営し異なる世代の人とコミュニケーションをとるという経験を積みながら、社会に視野を広げる機会にもなっています。現在、高校教育は、「知識の伝達」重視ですが、「知識の活用」や「多様な人たちと協働して学ぶ」ことにより、高校生の社会参画が主権者教育の観点からも有効なのではないでしょうか。
高校生の社会参画には、教科指導とは別に、学校と社会の橋渡し役となるNPOや企業によるサポートの拡大も望まれることから、学校側の体制の整備も不可欠です。このような活動を通して、彼らが自分の住む自治体で責任をもって選挙権を行使できるよう、また民主主義の担い手としての自覚と自信が持てるよう、政治教育にしっかり取り組んでほしいと思います。