認知症高齢者見守りと成年後見制度 ~予算特別委員会の質疑より8

OLYMPUS DIGITAL CAMERA認知症の高齢者が列車にはねられて鉄道会社に損害を与え、家族が責任を負うべきか争われた訴訟で、3月、最高裁判決は鉄道会社側の請求を棄却しました。「同居の夫婦だから直ちに監督義務があるわけではなく、介護の実態を総合考慮して責任を判断すべき」という判断は、認知症の家族の苦労や努力が理解されたものとして、多くの人を安心させました。

とは言え、認知症の人が安心して外出できる社会の体制が求められることに変わりはありません。 認知症高齢者が今後急増していくことが見込まれる中で、認知症の人を支えていく取組みが必要であり、知事の所見を問いました。

知事は、「認知症の方は、記憶障害や認知障害が原因で周りの人との関係が損なわれたり、被害に巻き込まれたりすることも少なくない。周囲の理解や支えが重要であり、都はこれまで、認知症に関するシンポジウムの開催や、認知症チェックリストを盛り込んだ普及啓発用パンフレットを配布するなどしてきた」。

また、「行方不明高齢者を早期に発見するネットワークの構築や、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村の支援」を実施してきたと言い、「3月末には、タクシー、コンビニなど、16の団体や事業者と、高齢者等の見守りや認知症の方への支援に関する協定も締結する」と答えました。

ところで、認知症などにより判断能力が十分でない人に代わって財産を管理したり必要な契約を結んだりすることで、本人の意思を尊重し保護するしくみとして、成年後見制度があります。今後、認知症高齢者の増加に伴い、成年後見の活用が進むと見込まれています。

親族や専門職後見人ではない、いわゆる市民後見人も養成し、後見活動の担い手を確保することが重要です。その養成の取り組みについて質問しました。

都では、2005年度から、区市町村が推薦する都民等を対象に後見業務に必要な基礎的知識を習得するための基礎講習を実施し、2013年度までに590名が修了したそうです。

そして2014年度からは、この講習をふくめ、区市町村による市民後見人養成の取り組みを包括補助で支援し、2014年度の基礎講習修了者は202名、2015年度は250名の見込みだと言います。今後も市民後見人が着実に養成されるよう、区市町村の取り組みを推進することを都に確認しました。