パレスチナの子どもに平和なくらしを!国連の存在意義が問われる

縁があって2019年にイスラエルを旅する機会に恵まれ、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区内にも入ることができました。

オリーブ畑が広がるエルサレムの聖地「神殿の丘」にて

高い塀に囲まれた自治区は、イスラエル軍が常駐する検問所を通過しなければならず、パレスチナ側に入るのはほぼフリーパスですが出る(すなわちイスラエル側に入る)際にはパスポートの提示が必要です。関門はイスラエル側の判断により長時間足止めされることが珍しくないといいますが、私たちが訪れた日はすんなり通過できました。

塀の内側は土ぼこりが舞う未整備の道路が続き、アメリカナイズされたテルアビブの町中とは別世界でした。経済格差は一目瞭然、人の姿はほとんど見られませんでした。

もうひとつのパレスチナ自治区ガザにも訪れる計画でしたが、ハマスの支配下にあるガザはそのころイスラエルとの間に不穏な動きがあるということで諦めることになりました。

ユダヤ教徒の後をガードする重装備のイスラエル兵士たち

別の日、エルサレムを訪れたのは、案内してくれたガイドから「観光には最悪の日」、パレスチナ人とユダヤ人の衝突が起きやすい危ない日だと言われました。ラマダン(断食月)の最終日かつムハンマドが昇天したとされる祝日、つまりイスラム教徒パレスチナ人にとって宗教上の聖なる日であるうえ、イスラエルの建国記念日(パレスチナ人にとっては土地が奪われた悲しみの日)にあたり、双方ともアイデンティティーが高揚する特別な日だそうです。

イスラム教とユダヤ教の宗教施設が隣接するエリアで緊張が高まっているのは一観光客の目にも明らかでした。重装備のイスラエル兵士たちにガードされて参拝に向かうユダヤ教徒集団がイスラム教の神殿のわきを通るとき、イスラム教徒たちが「アッラー・アクバル(アッラーは偉大なり)!」とほとんど怒声のような大声を上げ、今にも投石が始まるのではとドキドキしました。

ショックだったのは、その様子を遠くから見ていた私のすぐそばで小学生くらいの少女が「アッラー・アクバル!」とこぶしを振り上げて叫んでいたことです。

自治区内の塀に描かれたアラファト(パレスチナ初代大統領)。FREE(自由)の文字も

いま、イスラエルとパレスチナの衝突が日々激化、ガザだけでなくヨルダン川西岸地区も戦場と化し、特に子どもが犠牲になっているという報道に触れるともう、苦しくてたまりません。これ以上の悲劇を食い止めるため、国連は調停に全力を尽くさなければなりません。その存在意義が問われています。